AI時代に経営者に求められる「指示する力」
すごい時代になりました。
AIは日進月歩、これまでの時間感覚では追いつかないほどの速さで変化しています。
少し大げさに言えば、これまで何十年もかけて進んできた技術の変化が、
今ではごく短い期間で一気に進んでいるように感じます。
たとえば、2年前にパソコンが出てきたと思ったら、1年前には携帯電話が出てきた。
半年前にはスマートフォンが出てきて、3か月前にはiPad、1か月前にはApple Watch。
そして数日前にAIが出てきたと思ったら、もう次のAIが出てきている。
実際の歴史とは違いますが、いま私たちが感じている変化の速さは、まさにこのような感覚に近いのではないでしょうか。
このような時代にAIを使っていて、はっきりわかってきたことがあります。
それは、指示が明確であれば、結果も明確になる。
指示があいまいであれば、結果もそれなりにぶれるということです。
コンピューターの世界では、昔から “Garbage in, garbage out” と言われてきました。
つまり、「ゴミを入れれば、ゴミが出てくる」という意味です。
ところが、いまのAIはそれだけではありません。
あいまいな情報や未整理の言葉を入れても、ある程度は意味を汲み取り、整理し、
新しい価値のある形に変えてくれるところまで進歩しています。
これはとても大きな変化です。
しかし、だからといって人間の役割がなくなるわけではありません。
むしろ、これからますます重要になるのは、
何をしたいのか、どこへ向かいたいのかを明確に伝える力です。
プログラマーの世界では、すでに仕事の仕方が変わってしまいました。
従来のプログラマーは、プログラムやコードを書くことが中心でした。
しかしAIの活用が進むことで、コードを書く作業そのものは完全にAIに任せるようになりました。
その代わりに重要になっているのが、AIに対して的確な指示を出し、望むアウトプットを引き出す力です。
これは、経営者の仕事にもよく似ています。
経営者は、社員に対して「こういうことをやりたい」「会社をこういう方向に進めたい」と伝える役割を持っています。
社員は、その言葉を受け取り、自分なりに解釈し、仕事に落とし込み、成果を出していきます。
つまり、経営とは、ある意味で「人に対して指示を出し、成果を引き出す仕事」でもあります。
そう考えると、上手な経営者は、上手なAI操作官にもなれるはずです。
なぜなら、どちらにも共通して必要なのは、細かい作業をすべて自分で抱え込む力ではなく、
目的を整理し、方向性を示し、相手が動ける言葉にして伝える力だからです。
AI時代に必要なのは、AIを恐れることでも、ただ流行に乗ることでもありません。
まず必要なのは、自分の頭の中にある考えを整理することです。
そして、それを相手に伝わる言葉にすることです。
これはAIに対しても、社員に対しても、幹部に対しても同じです。
「何をしたいのか」
「なぜそれをしたいのか」
「どのような成果を期待しているのか」
「何を大切にして判断してほしいのか」
こうしたことを言葉にできる経営者ほど、AIも、人も、組織も動かしやすくなります。
これからの時代、経営者に求められる力は、すべてを自分で処理する力ではありません。
方向性を示し、考えを整理し、言葉にして伝える力です。
AIは、そのための強力な道具になります。
ただし、AIに何を聞けばよいのか。どこから整理すればよいのか。
自社の課題をどのような言葉にすればよいのか。
そこがはっきりしていないと、せっかくのAIも十分に活かしきれません。
AIを使う前に必要なのは、まず自社の状況や課題を言葉にすることです。
売上の問題なのか、利益の問題なのか。人の問題なのか、仕組みの問題なのか。
幹部育成なのか、業務改善なのか。
それとも、経営者の頭の中にある構想が、まだ社内に伝わる形になっていないのか。
こうしたことを一つひとつ整理していくことで、
AIに任せられること、人が判断すべきこと、会社として先に整えるべきことが見えてきます。
私たちは、経営者の頭の中にある考えや問題意識を、対話を通じて整理し、言葉にするお手伝いをしています。
AIをどう使うかを考える前に、まずは自社の課題や方向性を整理する。
そこから、経営改善や業務改善の具体的な一歩が見えてくることがあります。
AI時代だからこそ、経営者の考えを言葉にすることが、これまで以上に大切になっています。
自分の頭の中にあるものを、言葉にするところから始めてみる。
それが、AIを活かす第一歩であり、これからの経営を前に進める第一歩なのかもしれません。


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